和歌山県岸本周平知事、68歳で死去 死因は「敗血症性ショック」県が会見

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2025年4月15日、和歌山県の岸本周平知事が和歌山市内の病院で亡くなった。享年68歳。県によると、死因は敗血症性ショックだった。岸本知事は前日14日朝、和歌山市の知事公舎で倒れているのが秘書らによって発見され、意識不明の状態で日本赤十字社和歌山医療センターの集中治療室(ICU)に搬送されていた。県は同日、記者会見を開き、知事の逝去と死因を公表した。
岸本知事は13日、大阪・関西万博の開幕イベントに参加し、関西パビリオンのセレモニーでみこしを担ぐなど精力的に公務をこなしていた。しかし、関係者によると、この日すでに「声が出ず、体調が悪そうだった」との証言もあった。14日には新宮市でのタウンミーティングが予定されていたが、連絡が取れないため秘書らが公舎を訪れたところ、倒れている知事を発見。直ちに救急搬送されたが、懸命な治療の甲斐なく息を引き取った。
敗血症性ショックは、感染症が全身に広がり、血圧低下や臓器不全を引き起こす重篤な状態だ。県は詳細な病状や感染源については「プライバシーに関わる」として公表を控えたが、知事の急逝に県民や関係者からは衝撃と悲しみの声が広がっている。ある県庁職員は「突然のことで信じられない。知事はいつも気さくで県のために尽力していた」と語った。
岸本氏は和歌山市出身。東京大学法学部を卒業後、旧大蔵省(現・財務省)に入省し、財務省国庫課長などを歴任。2009年の衆院選で和歌山1区から民主党公認で初当選し、5期連続当選。民主党政権では経済産業政務官を務め、国民民主党幹事長代行を経て、2022年の和歌山県知事選に無所属で立候補。自民党、立憲民主党、国民民主党の推薦を受け初当選した。
知事就任後は、財政再建や南海トラフ巨大地震への防災対策に注力。民間企業での経験を生かし、幅広い人脈を駆使して県政を推進した。特に万博では、和歌山の魅力を発信する「和歌山ゾーン」の展示に力を入れ、県の観光振興に取り組んでいた。飾らない人柄で県民に親しまれ、SNSでも積極的に情報発信を行っていた。
県は15日、知事の職務代理として副知事が対応することを発表。後任については「今後、適切な時期に選挙を行う」としている。現職知事の死去は、2018年の沖縄県知事翁長雄志氏以来で、和歌山県では異例の事態だ。
国民民主党の玉木雄一郎代表はXで「もっと躍進した党を見てもらいたかった」と悼み、県議会からも「県政の発展に尽力した功績は大きい」と追悼の声が上がった。県民からは「和歌山を良くしようと頑張ってくれた」「急すぎて受け止められない」といったコメントが寄せられている。
岸本知事の急逝は、和歌山県政に大きな空白を生んだ。県は今後、知事選を通じて新たなリーダーを選ぶことになるが、岸本氏の遺志を継ぎ、県民のための施策をどう進めるかが課題となる。まずは県民が一丸となってこの悲しみを乗り越え、未来に向けた一歩を踏み出すことが求められている。
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