2025年4月16日、VTuber業界に衝撃が走った。
ホロライブプロダクション所属の人気VTuber、がうる・ぐら(Gawr Gura)が卒業を発表したのだ。
チャンネル登録者数400万人超、英語圏を中心に世界的な人気を誇る彼女の突然の決断は、ファンに大きな動揺を与えた。
ホロライブでは2024年以降、湊あくあ、紫咲シオン、沙花叉クロヱ、セレス・ファウナ、七詩ムメイといった主要メンバーの卒業が相次いでおり、ネット上では「卒業ラッシュ」と呼ばれる異常事態に懸念の声が高まっている。
ホロライブは大丈夫なのか? その背景と今後の展望を考えてみたい。
相次ぐ卒業の背景:方向性の違いと過重労働
がうる・ぐらの卒業発表は、ホロライブ公式Xアカウントを通じて行われたが、具体的な理由は明らかにされていない。
しかし、X上でのファンや関係者の反応を見ると、「仕事量の増加」「心身の不調」が共通の要因として推測されている。
実際、過去1年間の卒業者の多くが「会社との方向性の違い」を理由に挙げており、紫咲シオンは「数年間考え抜いた結果」と自身の決断を説明した。
湊あくあやセレス・ファウナも同様の理由でホロライブを去っている。
ホロライブを運営するカバー株式会社は、VTuber業界の急成長に伴い、配信だけでなく音楽制作、リアルイベント、企業タイアップなどタレントの活動範囲を拡大してきた。
2025年上半期の業績予想上方修正や「ホロライブTCG」の好調が示すように、ビジネスは順調だ。
しかし、この多角化がタレントに過重な負担を強いている可能性がある。
沙花叉クロヱは卒業発表時に「稼働量が多すぎて通院が必要なレベルで体調を崩した」と明かし、ファンの間に運営方針への疑問を投げかけた。
兎田ぺこらも配信で「タイミングが重なっただけ」と冷静に語りつつ、ファンと同じく戸惑いを隠せなかった。
ファンの不安と運営の対応
卒業ラッシュに対し、ファンからは「ホロライブの終焉」を危惧する声が上がる一方、「卒業は新たな可能性への一歩」と前向きに捉える意見も見られる。
特に、がうる・ぐらの卒業は英語圏ファンを中心に大きな反響を呼び、Xでは「ホロライブが上場していなければこんなことには…」といった憶測も飛び交った。
カバー社への不信感は、2024年に公正取引委員会から下請法違反で指導を受けた件も影響しているかもしれない。
カバー社の谷郷元昭CEOは、紫咲シオン卒業発表時に異例の声明をXで発表。
「タレントの旅立ちに寂しさを感じつつ、活動に専念できる体制を整えている」と述べ、改善に向けた対話を進めていると強調した。
しかし、具体的な対策やタレントのワークロード軽減策は公表されておらず、ファンの不安は完全には解消されていない。
ホロライブの未来:持続可能な運営への転換
ホロライブは50名以上のタレントを抱え、日本・英語圏・インドネシアで展開する巨大事務所だ。
しかし、業界の急速な変化と競争激化は、タレントと運営の間に溝を生んでいる。
星街すいせいは配信で「配信以外の活動が増える中、休み方の違いが個々の負担感に影響する」と語り、アイドル路線へのシフトが一部タレントの不満を増幅している可能性を示唆した。
今後、ホロライブがこの危機を乗り越えるには、タレントの意向を尊重した柔軟な運営が不可欠だ。
たとえば、配信中心の「クリエイター部門」とイベントや音楽重視の「アーティスト部門」を分ける案もファンから提案されている。
また、定期的な休息期間の導入やメンタルヘルス支援の強化も求められる。
兎田ぺこらや宝鐘マリンといった看板タレントが残る限り、ホロライブのブランド力は揺るがないが、彼らが抜けた場合のリスクは計り知れない。
ファンとしてできること
卒業ラッシュはファンにとっても辛い現実だが、去ったタレントの新たな挑戦を応援しつつ、現役メンバーを支えることが重要だ。
星街すいせいは「ごめんねメディスン」の歌詞が卒業を機に新たな意味を持ったと語り、別れをポジティブに昇華しようとする姿勢を見せた。
私たちファンも、推しの活動を楽しみながら、誹謗中傷や過度な憶測を避け、温かい応援を続けたい。
ホロライブの卒業ラッシュは、VTuber業界の転換期を象徴している。
がうる・ぐらの卒業は大きな節目だが、ホロライブがタレントとファンの笑顔を守るための変革を遂げれば、再び輝く未来が待っているはずだ。